業種は無関係。「経営のやり方」が重要です。


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〈ダイジェスト〉

「おしゃべり処」にどんどんお客が集まる

「20歳の女性が、いつまでもファストフードのお店ばかり行かないし、ちょっと敷居が高く感じるからフレンチのお店に行きませんよね。うちは、飲食店利用のお客さまの“デビューどころ”なんです」

 自社が展開するカフェの存在意義を、わかりやすく教えてくれるのは、有限会社COCOROの代表、関戸一也さんです。
 世の中から喫茶店が減り始め、おしゃべりができる店がなくなって困っている人が大勢いました。
 昔ながらの喫茶店よりはステキな店がいいけど、フレンチのお店では高級だし、なによりおしゃべりに向いていない。
 “ちょうどいい店”があれば……という人たちにカフェを提供して16年。COCOROは、熊本のカフェ大好き人間に愛され続けています。

 これまで直営の7店舗を含め、空間のデザインや開店、運営のプロデュースなど、手がけた店を含めると三十数店舗を世の中に送り出してきた関戸社長。
 COCOROが展開する店は、存続率が低いと言われている飲食業界にあって、来店客が増え続けています。

「開業当初から20店くらいつくるつもりだった」と関戸社長は言います。うまくいったら店を増やそうではなく、人が育ったら店を増やそうでもなく、「20店以上は出したい」「30店くらいあってもいい」「熊本のあちこちにつくるつもりで」創業しました。
 関戸社長の言葉を借りると、カフェをつくりたかったというより、「おしゃべり処」をつくることが目的です。

市中山居
 16年前、一店目をオープンさせてからの数年間は、決して好調とは言えませんでした。周囲から見ると、「いつまでもつのだろう…」と心配する日々が続きました。
「じわぁ〜っと売上が上がり始めたのは、3年目からですね(笑)」と関戸社長は笑いますが、20店くらいはつくりたいと考えているうちの1店目です。じたばたしませんでした。独自の割り切りがあったのでしょう。
「最初から客層を絞っていましたから」と、関戸社長は次のように話してくれました。

「これまで撤退した店は3店舗あります。全部思い通りにうまくいくって、かえって変でしょう? それに、最初から狙った客層に特化したメニュー構成だから、オープンしていきなりお客さまがどかんと来るわけがない。始めは少数。でも、狙いははずれるはずがない。そう確信して淡々と過ごしてきただけです」

 撤退した店があるからこそ、残っている店には残るだけの確かな価値があると言えます。
2013年6月現在、COCORO直営のカフェは全部で7店舗。プロデュースをした店もすべて黒字で推移しています。

 お客が増えていることが、経営者としての成績の良さを表していますが、関戸社長は自分のことを「飲食店の経営者じゃない」と言います。
 たしかに飲食店の売上を伸ばすために何をしているか、ということは話しません。どうすればお客が集まり、満足してお店をあとにするか。そこを考えることが大好きな経営者です。

 競争が激化している飲食業にあって、お客が増えているCOCOROは、とくにサービスにかかわる教育が優れていると思います。
 従業員に何をどう伝えるか。その点も勉強になる事例が、お客が増える!No.55、有限会社COCOROの事例です。

meiloカフェ イヌボウ内観



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