業種は無関係。「経営のやり方」が重要です。

〈ダイジェスト〉
ベルのホームページ

感動していただける仕事を目指す

「ビルメンテナンスの仕事やスタッフを下に見るお客さまは、こちらから断りました」
 株式会社ベルの奥斗志雄社長は、きっぱりと言いました。

 1992年(平成4年)、「ベル美装」として創業。法人化の際に「株式会社ベル」に変えた奥社長は、20年のあいだにお客を選び、お客を絞り、相思相愛のお客を増やしてきました。
 イタリア語で「気品ある」という意味の「ベル」を社名にしたのは、従事する人たちに誇りをもって働いてほしいからです。

ベル スタッフ
 愛情をこめて仕事をする。感動してもらえるような仕事をする。そこで暮らし、働き、その建物を訪ねる人が驚くような仕事を目指しているスタッフを、高く評価してくれるお客とだけお付合いをしたい。
 株式会社ベルの本社スタッフは16名にすぎませんが、各地の現場で働く150名あまりのスタッフの誇りと生活を守るため、奥社長は戦略を練り直してきました。

 独立して10年ほどは、順調にお客が増えました。どんな仕事も断らず、喜んで引き受け、お金をいただいてきました。
 しかしそれは、株式会社ベルにとって、必ずしも正しい経営ではないことに気づきます。

「僕たちは何のために仕事をしているのか。毎日朝早くから夜遅くまで、時には排泄物や汚物を片づけたりしながら、それでも笑顔を絶やさず働いているのはなぜか。誇りを失う仕事だけはしたくない。みんなが幸せになれる仕事を続けたい」

 そう願う奥社長の思いに従い、客層を考え直します。株式会社ベルが理想とする品質基準に価値を感じてくれるお客との出会いを大切にします。
 日々の清掃業務を担ってくれる「クリーンキーパー」たちの人間性や対応に、他社との違いを見いだしてくれるお客との出会いを大切にします。
 奥社長はこう言います。

「不満を感じさせないだけでは意味ありません。満足していただける仕事をしなければなりませんし、満足を超えて感動していただける対応を維持しようと考えています。私どものクリーンキーパーさんが保つのは、お客さまのビルの清潔さ、きれいさだけではありません。美しい心も保ちたい。提供するのは清掃技術だけではありません。おもてなしの心もサービスしたい。『さすがプロだね!』『そこまでしてくれるんだね!』『ありがとう!』と感動していただける仕事を目指しています。その継続が業績の良さにつながっているのだと思います」

 独立起業する人に多く見られることですが、独立前の経験はすべて経営に役立っています。奥社長も同じです。
 自分にないものを求めるのではなく、経験してきたことを活かして新しい日々に挑戦しています。
 経営者の思いひとつ、経営のやり方しだいで会社が変わり、お客が増えることを教えてくれる事例です。
 


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