登山ツアーは誰のもの

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 お客が増える★プロダクションが贈る メールレター
 【今日も元気に お客が増える!】 037
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜2009・07・23

 このメールレターは、
 お客が増える★プロダクションとご縁のある方に贈ります。

  ※本文の無断転送、無断転載を
   積極的におすすめします。どしどし人に教えてください!


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  こんにちは。お客が増える★プロダクションの村上 透です。


    
     今日のメールレターは、いつものように
     「すごい人」の紹介ではありません。
     山の話をさせてください。
     僕は小中高と大雪山のふもと近く、旭川で育ちました。
     山好きの叔父に連れられ、小学生のときから山に入り、
     仕込まれました(笑)

     高校時代は山岳部の一員として春夏秋は毎週、山を歩いていました。
     大学時代は北アルプスなど本州の山を歩き、社会人になってからは
     再び大雪山をはじめ北海道の山を楽しんでいました。

     もちろん、美瑛岳(びえいだけ)もトムラウシ山も何度か登りました。
     両方ともいい山です。大好きな山です。
     この山で7月16日、合計10人が凍死しました。


    

 今日の内容
  *登山ツアーは誰のもの
  *(ニュースレターのつくり方は、今回はおやすみです)


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  登山ツアーは誰のもの
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 6月7日、といっても30年近くも前の6月7日ですが
 美瑛岳の近くを山岳部のメンバーで歩いていました。
 比較的おだやかな、いい天気の日でした。

 ところが、急に天候がくずれ、ガス(雲)が発生、
 雨が降り出し、あっという間に雪が降り出したのです。

 風も強まり、数分のうちに吹雪状態。視界は5メートルくらい。

 僕らはルートがわからなくなりました。
 雪が積もり、道が消えたのです。まったくわかりません。
 吹雪で目印となるものも見えず、動けなくなりました。

 「少し待てば雪はやむんじゃないか」
 「コンパス(磁石)があるから、行けるところまで行こう」
 などとは誰も言いません。

 「ここでビバーク!」

 全員一致です。急いでその場でテントを張りました。
 テントの中で、ビニール袋から出した乾いたシャツに着替え
 ウールのセーターを着て、紅茶をわかして暖まりました。

 テントの外はしだいに猛吹雪。まるで真冬のよう。
 でも、狭いテントの中でからだを寄せあうから寒くありません。

 気象情報をラジオで聞き、自分たちで天気図を描きます。
 等圧線を引き、今後の天気を予想します。

 行動食のほかに予備食、非常食も持っています。
 シュラフ(寝袋)に入り、
 「朝、天気がよくなれば予定通りのルートを」
 「あまり回復しなければエスケープルート(脱出用のルート)を」
 などと相談します。

 どう考えても遭難しそうにありません。
 決して得意になって申し上げるのではなく、
 行程も装備も万全、そして判断も間違っていないからです。

 その日のことは、まるで昨日のことのようにおぼえています。
 以後、僕は「6月でも山では雪が降る」と思い込んでいます。



 今回の遭難事故は7月。どう考えても夏です。しかし凍死しました。
 報道されている「低体温症で死亡」とは凍死したということです。

 気の毒なことになぜ低体温症で亡くなったか。

 ツアー会社がお客のことを考えていなかったから。
 生意気な見方かもしれませんが、僕はそう思います。

 ツアーに参加するお客のことを本当に考えていれば
 旅行日程に余裕を持たせたはずです。

  悪天候のときは進まず停滞する。
  天気が回復しそうになければ下山する。
  けがをしたり体調をくずしたりする人用に時間をたっぷり取る。

 そんな日程のツアーであれば、おそらく遭難はしなかったでしょう。

 美瑛岳で亡くなった方は64歳、トムラウシ山のツアー客15人は
 55歳から69歳という年齢構成です。

 どれだけ山歩きのベテランだとしても年齢が年齢です。
 しかも14日に入山して40キロ以上を縦走し16日に下山、
 翌17日には飛行機で帰途につくというハードな内容です。

 僕ならそんな企画は立てません。
 そんな行程のガイドは引き受けません。

 だれかがケガをする。雷が鳴って歩けない。
 予報と違って悪天候に変わる。
 そんなことがひとつでも起きれば、たちまち予定は狂います。

 ではなぜ、今回遭難したツアーは余裕ある日程にしなかったのか。

 「参加価格を安くおさえるため」

 予備日を設けるとツアーの参加価格が高くなるから、
 とツアー会社側は言っていました。

 価格が高くなると申込みが減ってしまう。
 他社との競争に勝つには価格を高くできない。
 お客さまは少しでも低価格のツアーをさがしている。

 ツアー会社の社長は、そう認めています。

 価格を安くおさえることはお客のためですか?

 今回8人が死亡したトムラウシ山の登山ツアーは
 参加費が約15万円。
 予備日を一日増やすと3万円プラスの18万円です。

 ツアー会社も参加者も、あと3万円プラスしていれば
 こんなことにならなかったのではないか。
 そう思えてしかたありません。

 登山というレジャーといえども命をあずかる旅行です。
 雨が降っても気温が下がっても、
 無事に元気に帰宅してこそ「また行きたいね」と
 言ってもらえるツアーになります。

 ガイドだけではなくツアー参加者にも予定通りに下山したい
 という気持ちがあったかもしれません。

 予備日がないことを承知のうえで参加している以上、
 参加者にも自己責任ということが問われるでしょう。

 それにしても、なぜ3.5キロを戻って避難小屋に向かわず
 残り10.5キロを歩いて下山しようとしたのか。

 やはり、その日のうちに下山しなければ…
 という思いが強かったのでしょう。


 今回、多くの方が亡くなった遭難であり
 僕が何をどう論じても、批判をしているように
 読めるかもしれません。

 ここまで長々と読んでいただき、たったひとこと
 「お客のことを考え抜いたツアー(商品)ではなかった」と
 申し上げたところで、あなたは「それがどうした」と
 思うかもしれません。

 しかし、遭難事故の大本の原因は何かを考えると
 マスコミで報道されるように
 「防寒具が不備」「ガイドの資質が問題」ということより
 登山ツアーとは誰のための、誰のどんな願いをかなえるための
 商品かということが問題と思うのです。


 もう一回だけ、このメールレターで山の話におつきあいください。
 ツアーをお世話するガイドの行動について考えてみます。

 お読みくださりありがとうございます。
 では次号で。

 登山ツアーの企画そのものが戦略だとすると、
 年に何度か同じコースを案内することは戦術か…?
 戦略が間違っていると、どれだけ現場で必死になっても
 いい結果をもたらさないと言えるだろうか……
 などと考えつつ。


       ★

 あなたのお客さまが、もっともっと増えますように。
 あなたのお客さまのお客さまが、一人でも多く増えますように。
 好きな人、愛する人がたくさん増えますように。

 気持ちをこめて、祈っています。心より。

           お客が増える★プロダクション
                     村上 透


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『テレビや映画をみて、旭山動物園をわかっているつもりの人は多い。
 しかし、旭山動物園が弱者の戦略と戦術にもとづいていることを
 知っている社長さんは少ないですね』と
 ランチェスター経営の竹田陽一先生はおっしゃっています。

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 発行者:お客が増える★プロダクション 村上 透
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