会社でも遭難は起きる

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 お客が増える★プロダクションが贈る メールレター
 【今日も元気に お客が増える!】 038
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜2009・07・27

 このメールレターは、
 お客が増える★プロダクションとご縁のある方に贈ります。

  ※本文の無断転送、無断転載を
   積極的におすすめします。どしどし人に教えてください!


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  こんにちは。お客が増える★プロダクションの村上 透です。

    
     7月23日に送ったメールレターがものすごい反響です。
     ありがとうございます。今回も、山について。
     少々長いメールレターです。
     時間のあるときにご一読ください。

    

 今日の内容
  *会社でも遭難は起きる
  *(ニュースレターのつくり方は、今回はおやすみです)


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  会社でも遭難は起きる
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 僕は山のガイドではありませんが、
 これまで何度か人を案内して歩いたことがあります。

 その山を登るのは初めてという中高年の方々を
 楽しませるのが僕の仕事です。

 と書くと、すんなり読めてしまうかもしれませんが
 「楽しませる」には2つの意味があります。

 僕が引率する登山者にとっての楽しみは
 目指す山の頂上に到達することであったり、
 高山植物や北海道の雄大な眺めを楽しむこと。

 僕にとっては、全員が気分よく歩き、ケガをせず、
 無事に下山していい思い出をつくってもらうこと。

 この2つは、似ているようで
 大きな違いがあると思います。


 北海道の富良野岳(1912メートル)を
 案内したときのこと。

 明け方まで降っていた雨がやみ、早朝、
 曇り空の下を歩きはじめました。

 もう少しで頂上、という場所まできたとき
 雨が降り出しました。すぐにカッパを着ます。

 風もでてきました。雷がすぐ近くで鳴り始めました。

 メンバーを見ると、金属のファスナーがついた雨具を
 着ている人はいません。
 しかし、ひとり、メガネをかけている人がいます。

 僕は臆病です。
 雷がメガネに落ちる可能性だってゼロではありません。

 尾根筋だから、風向きによっては雨が下のほうから、
 あるいは横から降ってくることもあります。

 カッパのすきまから雨がしみ込んだり、
 体感温度が下がることも容易に想定できました。

 このときはもっともカミナリに危険性を感じました。
 現場でそう思ったのだからしかたありません。



 「みなさん、残念ですがこれから下山します」

 僕は言いました。すぐに尋ねられました。

 「頂上まで、あとどれくらいですか?」

 嘘は言えません。調べればあとでわかることです。

 「もうすぐです」
 「もうすぐって?」

 「………20分くらいです」
 「………それなら行きませんか?」

 「ここまで来て本当に残念ですが、急いでおりましょう」

 そんなことがありました。


 トムラウシ山(2141メートル)も人を案内したことがあります。
 10日前、9名の方が亡くなってしまった山です。

 時期は同じく7月、天気のいい日でした。

 トムラウシ温泉がある登山口から頂上まで
 標準時間は6時間とガイドブックに載っています。

 僕は、6時間ではきついかな、と思っていました。
 しかし歩いてみないとわかりません。
 案内する相手の体力、脚力などが正直わからないからです。

 そのときは、6時間経っても頂上には着きませんでした。
 頂上まで、僕の足であと1時間というところで休憩。

 僕はじっくり考えました。
 上ったからには下りなければなりません。
 帰り道の体力まで考える必要があります。


 「みなさん、このペースだと、頂上まであと1時間15分は
  かかります。この場所までの往復で2時間かかります。
  いかがでしょう。今回はここから景色と頂上をながめ、
  いつかあらためて登りませんか」

 よく晴れて、頂上がはっきり見えていることは
 ときには酷なものです。

 「なんか、すぐそこに感じるけどなあ…」
 と惜しむ方がいましたが、全員、同意してくれました。

 そんなこともありました。


 この2件が忘れられないのは、頂上を目前にして
 下山を決断し、促した山行だからです。

 短い時間で決めざるを得ませんでしたが
 苦渋の決断でした。


 決断とは、何を断つかを決めることです。

 やる! と決めることは楽しい。しかし、
 ここまできて、やめる…と決めるのはつらいものです。

 でも、決断することもリーダーならではの仕事。


 案内した方々に、たとえ恨まれても、ばかにされても
 臆病だと思われてもしかたありません。

 僕の目的は頂上に到達することではなく、
 頂上まで連れていくことでもありません。

 とてもおおげさに感じるかもしれませんが、
 全員が無事に、生きて帰途につくこと、
 あくまでもそれが目的だからです。


 トムラウシ山における今回の遭難事故では
 プロのガイド3人が15人のツアー客を引率しました。

 新聞やテレビの報道によると、
 1人はトムラウシ山の登山経験があるベテランガイド。
 ほか2人はトムラウシ山未経験とのことです。


 7月16日の10時半、ツアー客のひとりが
 寒さで歩けなくなりました。

 ここでベテランガイドが付き添い、
 残り全員に先に進むよう指示しました。

 「先に行って。後から追いかけるから」
 (この2人は亡くなりました)

 ・なぜ3.5キロの道を引き返さず、
  10.5キロの道を目指そうとしたのか。

 ・ツアー客15人のうち1人が低体温症になった時点で
  なぜ、ほかの14人にも可能性があると考えなかったのか。

 ・なぜツアーを2つのグループに分散させてしまったのか。

 ・なぜベテランガイドが残り、2人のガイドに先行させたのか。

 ・ツアー客が歩けなくなったほど衰弱しているのに、なぜ
  後から追いつくことができると思ったのか。

 僕には疑問だらけです。
 当事者ではなく、プロのガイドでもありませんが
 それでも、なぜと思うことが数多くあります。

 そして11時半、ツアー客がまたひとり、意識を失います。
 そこでガイドの1人がテントを張り、計5人が残ります。
 ベテランガイドの場所から500メートル離れた地点です。
 (5人のうち2人が亡くなりました)

 残りは3人目のガイドを含めた11人。
 この11人は、3人と8人に分散します。

 ガイドを含めた3人はペースが早く、遅れた8人も
 やがてバラバラになります。
 (8人のうち4人が亡くなりました)

 もはやどこにもリーダーが存在せず、
 したがってリーダーの指示通りに行動する人もいない。

 共通の目的も目標も、手段もなにもかも存在しません。

 多くの人を死に至らせた本当の原因は、
 悪天候ではないと思うのです。

 ・(予備日を設けなかった)企画や計画のミス。
 ・リーダーシップが発揮されなかったこと。
 ・リーダーのなかのリーダーがいなくなったこと。
 ・決断を誤ったこと。
 ・リーダー陣が分散してしまったこと。

 ここに生死を分けた真の原因があるように思われてなりません。

 この遭難事故ではガイドを派遣した会社の管理責任も
 問われています。

 最終的な責任は会社にある。つまり社長にある。
 きっとそうでしょう。

 しかし、現実問題として山中でのひとつひとつの判断は
 ガイドにまかせるしかありません。
 ガイドしか判断し、決意し、決断することができません。

 逆に言えば、会社は全権をガイドに託すしかない。
 そこでどのようにお客に接し、お客に喜びを与え、
 お客の安全を保証するかはガイドしだい。

 であれば、日頃、どんな判断をすべきかを
 教育しておく必要があると言えないでしょうか。


 お客と直接接する社員もガイドと同じ立場にあります。
 接客であれ商談であれ、現場で起こることすべてに
 社員の判断が生かされています。

 お客を観察し、お客の声に反応し、競争相手の動きも
 考慮しつつ、現場の状況から判断し、お客に応える。

 喜んでいただき、一生頼りにされる社員となるか
 クレームを起こしたり怒らせたりしてしまうか。

 山ではありませんから遭難も死に至ることもありません。

 しかし、リーダーの決断、社員の決断ひとつで
 お客との関係は大きく変わり、お客を変えてしまう。


 もしかすると、小さな遭難が現場で起きるかもしれません。

 お客にとって頼れるガイド、頼れる社員を育てたい。
 そう思うのですが、いかがでしょうか。



 伝わりましたでしょうか。
 村上の言いたいことがよくわからない。
 もしそう感じられましたら、遠慮なくおっしゃってください。

 ぜひお目にかかり、あなたに直接伝えたいと思います。

 長々と、しかも僕個人の見方をお読みいただき
 本当にありがとうございます。


       ★

 あなたのお客さまが、もっともっと増えますように。
 あなたのお客さまのお客さまが、一人でも多く増えますように。
 好きな人、愛する人がたくさん増えますように。

 気持ちをこめて、祈っています。心より。

           お客が増える★プロダクション
                     村上 透


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市営の動物園、すなわち公務員にできることが民間の会社に
できないわけがない。そう思うのは僕だけ?

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 発行者:お客が増える★プロダクション 村上 透
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